1.マキシマムインッグリシュの利用 元のページへ
マキシマムインッグリシュは手玉の右端または左端を撞いて玉に最大の横回転を与えることを言う。これの取柄はクッションからの跳ね返り方向に安定性があり、また再現性があることである。とくにクッションに垂直に当てたときの出る方向に安定性がある。この点を利用する。
1-1.マキシマムインッグリシュによるコースの早読み
この図のように手玉の右端を撞いて右短クッションに当てると計4ポイント分の横方向開きで左短クッションに当たる。つまり右短クッションで3ポント、左短クッションで1ポイントの横移動となっている。(実際は合計3.8ポイントぐらいのこともある。台毎に撞いて確認する)
次のような配置のとき、赤玉からの縦返しのコースは一般に見えにくい。しかし図のように右端を撞いて赤玉から右短クッションに垂直に入れると左短クッションの1ポイントに来ることが判っているので基本コースが見える。
実行すると次図のように走る。
同じく次のような配置ときも同様にコースが見える。つまり右側クッションで3ポイント、左側クッションで1ポイントで丁度計4ポイントになる。
手玉の左端を撞き、赤玉への厚みは手玉が右クッションに垂直に入るように撞く。
これらの場合は共にやや困難な玉配置であり、これを迷うことなく撞き、得点するとプロにさえいい感じを与える。若い頃に実際に何度か経験した。かつ玉の端を撞き、クッションに垂直に入れる厚みを決めるだけであるので成功率は高い。
以上のようにコースが見えにくい縦返しの場合において、まずは上記のような基本条件の場合はどうなるかを即座に判断し、それを基に厚みの微調整で済むと分かればコースに自信が持てる。
但し慣れてくると分かるが、上記においては垂直に当てる側のクッションが3ポイントにおいて手前に出す場合であるが、この赤玉がさらに下の位置にあって例えば中央の2ポイントであると、左側クッションの到達位置は2ポイントではなく2.6ポイントのようにそれらの和は4よりも小さくなる。この程度の変動は勘案する必要がある。
以上のようなマキシマムインッグリシュによる切り返しはしばしばあるわけではない。通常はこれ以外の撞点で撞き、多くのシステムによるコース判断がされる。例えば空クッションにおいては撞点が右か左の40°、離心率0.9ぐらいで撞くのが安定している。さらに多くの場合は任意の撞点と強度が選ばれる。
マキシマムインッグリシュによるコースが見えたときは成功率が高く、自信を持って撞けるということである。
1-2.逆スピンによる切り返し
例えば次のような配置の場合に、手玉の左端を撞き赤から逆スピンで切り返す。
実行すると次図のようになる。
実際に走らせてみればわかるが、切り返したあとの玉が順回転であるため生き生きと走り、見ている人を楽しませる。手玉の赤玉への適切な厚みを見つけるのには練習を必要とする。図中の厚み図にあるようにかなり薄く左のマキシマムインッグリシュで当てる。図では中央が手玉で、赤玉とは1/3ぐらいの厚みしかない。手玉がクッションから離れての角度になれば厚みは更に薄くなる。
1-3.縦返しの空クッション取り
次図のような配置は上級者の残り玉としてもらうことがある。少々の技ではとれないが、縦返しで3クッション目のあと、手前から転がせていけば当たる確率がそこそこあることがわかる。
実際は次のようになる。
手玉の左端を撞いて2ポイントずらして向こう側クッションを狙うとほぼ手元に戻ってくる。これも合計が4ポイントである。
但し本論で述べているように手玉を長く走らせるときはその距離に応じて撞点を下にずらせないとクッションに当たるときに-90°にならない。この場合は-105°を撞いている。
この取り方は手玉が左上部にあるときに有効であって、これ以下の位置からの返しは最後の走りが上方向に開き、狙いにくくなる。いずれにしても上記コースを参考にして最初の角度と3クッション目の玉の出方を練習で把握する必要がある。
以上